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2017/07/09

奇跡のリンゴ 木村秋則講演会

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奇跡のリンゴ 木村秋則講演会

先日岩手県紫波町オガールでオーガニックフェスタが開催された。映画「奇跡のリンゴ」のモデルになった木村秋則さんの講演会があったので出かけて来た。

リンゴから教わったのは
「自然は百科事典だよ。すべての答えが自然にあるんだよ」そう話す木村さん

「土の上ばかりを見て来た。大事なことは眼に見えない所にあるんだな」
リンゴは教えてくれた。「馬鹿になれ」

そして季節を忘れたリンゴの木の写真を見せた。後ろの自然の山の木は紅葉しているのにリンゴの木の葉は紅葉していない。これが現代人が食べている今のリンゴの実体だ。異常なことを当たり前と思っている。

アブの幼虫がアブラムシを食べている。アブの幼虫はものすごい量のアブラムシを食べる。葉についたアブラムシを全部食べてしまう。てんとう虫は4〜5匹しか食べない。てんとう虫がいてもアブラムシは逃げない。アブの幼虫がいるとアブラムシが逃げてしまう。

木村さんはてんとう虫にご飯粒をつけて飛ばない様にして一匹一匹に番号をつけて調べた。近所の人から木村さんは馬鹿だと思われた。

減反した田んぼに蒔いた大豆の写真が映し出された。
右は生育が良く、左の大豆は生育が悪い。
JAの指導員は生育が悪い大豆を見て
「肥料が足りない。肥料を施しなさい」と指導をした。

木村さんは「肥料を施すのは間違っている」と言った。「生育が悪いのは水はけが悪いからで30センチくらいの溝を掘って水はけを良くしてみてください」そう指導すると肥料を施さなくとも立派な大豆が出来た。

「肥料をやらなくてはだめだ。」
「肥料を施さないで、除草剤、農薬を使わずに作物が出来るか!!」
「夢物語を語るな!!」
全国何処にいってもそういわれる木村さん

ところが作物が肥料をどれだけ使っているか生産者は知らない。
実際は肥料の1割程度しか使われていない。作物は肥料をやらなくとも出来る。自然を観察してそう考えた木村さんは実際に無肥料で作物を栽培して証明した。

農薬、除草剤をやらなければ雑草だけが生える。ところがそこの畑の先住民は誰か?その土地の雑草が先住民ではないか。作物のほうがよそ者である。そして雑草もあまり肥料を食わない。土の中のバクテリアが2〜3割使うのである。

その肥料がどのような結果をもたらしているのか消費者は知らない。東京のスーパーの店頭に並べられる野菜から軒並み9千ppm から1万ppm を超す「硝酸塩」が検出されている。

1950年代から1965年ごろにかけて、欧米ではホウレンソウが原因で乳幼児の中毒事件が相次いだ。裏ごししたホウレンソウを離乳食として与えたところ、赤ん坊は真っ青になり30分もしないうちに死亡に至ったのである。278人の赤ん坊がこの中毒にかかり、そのうち39名が死亡した。

欧米では「硝酸塩」を3000ppm以下に厳しく制限されている。

ところが東京の大田卸売市場の抜き取り検査ではチンゲンサイから16000ppmの「硝酸塩」が検出されている。その量は2〜3歳の子供なら小松菜2枚食べると死ぬといわれている。

消費者は「無農薬野菜」や「有機栽培野菜」を安全と思っているけれど中途半端な有機肥料を施した野菜は危険なのである。完熟しない有機肥料を畑に施すと劇薬となる。「硝酸塩」は、「残留農薬」の何倍も危険な劇薬なのである。

コップに水を入れた自然栽培の米と農薬、科学肥料の米と有機栽培の米の比較の写真

冬に20日間たった米は腐って、ものすごい匂いを発しているが無肥料、無除草剤、無農薬の自然栽培の米だけが腐っていない。日本人が毎日食べ続ける米がこのような状態にある。便秘の人は要注意である。

農薬、除草剤、化学肥料を使った近代農業を押し進めた戦後の日本はその結果どうなったか。とんでもないことが起きている。どうしてニュースにならないのか不思議だ。消費者はその事実を知らない。

宮古島ではサトウキビの栽培が盛んで農薬、除草剤、化学肥料を使った結果、サトウキビの生産量が増えた。

しかし、しかし何十年もたった現在、畑に窒素肥料をたくさん与えた為に硝酸態窒素が水に混入し宮古島では水が飲めなくなってしまった。宮古島は山や川のない小さな島なので生活用水や産業用水のすべてを地下水に頼っていたのである。

宮古島の高校では木村さんの自然栽培を始めている。全国で自然栽培を始めた農家が増えて来ている。収入も増えて来ている。自然栽培を始めた高校では七千万円の売り上げがあった。

自然栽培の田畑にはトキが飛んで来た。農薬、除草剤を使わなければ無数の生物とバクテリアが住む様になってくる。日本全国、いや世界中がそうなってほしいと、そう願う木村さんだった。

以上は木村さんの講演の内容

あとは私の感想
実行委員会の日野さんの話によると木村さんは予定を変更してまでオーガニックフェスタに駆けつけてくれたということである。

たしかに化学肥料と殺虫剤の大量使用は収穫量を何倍も増やした。しかし環境は汚染されミツバチは姿を消しつつある。

害虫というのは人間中心の考えで、人間が手を加えた畑や山林で害虫は大発生するが、自然界の山林では害虫が大発生しない。山には虫を食べる天敵がいるからだ。農薬を散布した結果、農薬に弱い天敵が死滅して農薬に強い害虫だけが大発生してしまう。本末転倒な話である。

そして作物は、命のない物質としてあつかわれるようになった。アメリカでは機械化できなかった何百万という小規模の農場は閉鎖されて農業は工業化された巨大な産業に変身した。農業はビジネスとしてマネーゲームの対象になった。

医療の現場と農業はよく似ている。薬の使用は耐性菌を増やし、免疫力の低下を招き、医療費の高騰を招いている。

作物は病気に弱く、化学肥料と農薬に依存している為に農薬を駆け続けなくてはならずコストが増大した。近代農業は完全な石油エネルギー依存体質になっている。

皮肉なことに農薬は天敵の数を減らし、農薬の耐性をもった害虫を増やしている。長年、同じ作物を植え、合成肥料を施したために、土壌の生態バランスはすでに崩れてしまっている。いきなり自然農法してもうまくいかない。木村さんは10年間収穫なしだった。

薬に依存する病人と同様に農業も薬をつかい続けなくては行けない体質になっている。そして、農家は農薬をあび消費者は生命力が低下した作物を食べるのである。その結果は環境破壊と身体の病気となってあらわれている。

硬直化した近代農業にかわる自然栽培がこれから、世界中で行なわれてくるだろう。循環しない近代農業は地球環境を破壊する持続不可能の農法だからだ。

合成肥料なしで作物を育て、新しい生態学的な方法で害虫をコントロールし始めている。作物は化学肥料よりも美味しく、生産者と消費者の健康にもよく、何よりも地球に住む生き物に良いのである。

(撮影地 岩手県紫波町 2014年9月6日)
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