2018/04/10

神事芸能集団傀儡

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以前に神戸女子大学名誉教授の鈴鹿千代乃先生から昭和初期まで筑紫(九州の北半分)を本拠地とした芸能集団「くぐつ」の一大ネットワークがあったことをお聞きしたことがあり、大変驚いたことがあります。

傀儡(クグツ)族が残したといわれる筑紫舞は跳躍や旋回の多いのが特徴です。日本舞踊にはない「ルソン足」「鳥飛び」「波足」「水けり」「砂けり」など海辺にまつわる海女族の伝承を思わせる名のついた足使いがありました。

昭和十一年の秋、舞人が十三人集まり古代の石室で一人の少女の前で不思議な舞を舞いました。それは昭和に入り「くぐつ」の芸の伝承者が少なくなってしまった筑紫舞の奥儀を伝える最後のイニシエーションでした。その石室は先日訪れた宮地嶽古墳(みやじだけこふん)でした。

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不幸な悲劇的な生涯を送った皇子や皇女の物語を伝える「語り舞」というのがあります。

「男女の恋でも、成就した話は、舞って語り伝える必要はない。それは単なる色恋にすぎない。結ばれなかった恋を舞って、死後は離れ離れにしないで下さいと神に祈る、舞って語ることによって後世の人々に『ああ、こういう恋もあったのか』と思ってもらうことが、その人々をおなぐさめすることになる。」菊邑検校(筑紫舞伝承者)

「語り舞」は魂をなぐさめる「鎮魂」の舞でもありました。

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筑紫舞が伝える七福神は世にいう福の神とは全く異なる不幸を背負わされた神でした。 

傀儡が伝える七福神は皆、人々の苦しみを背負わされて不完全な不具の姿をした神でした。

鈴鹿先生は次のように述べています。『不完全なるものに神性を見る思想は世界的にある。日本にも、近世までは、不具の子が生まれると、その子は、家を栄えさせる“福子”として皆で大切に守り育てた。
神から授かった子、神から選ばれた子として共同体がその子を大切にすることで、その共同体に福がもたらされる。芸能を演ずることで、共同体の罪、穢れを自ら背負い、さすらいという生活を余儀なくされた彼等の生み出した神々の姿であった。 
こうした伝承は、傀儡子が独自の神話体系を確立していたことを語っている。』

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筑紫舞は二百数十曲伝えられていますが、舞の種類は大きく神舞(かんまい)・巫女舞(きねまい)といった神に捧げる神舞と、 くぐつ舞という祭礼の時に人々に見せる舞とに分けられます。くぐつ舞は全ての所作が「祓え」としての意味を持ち、体を極限まで駆使して舞うことによって全身で人々の穢れを引き受けました。

そして、その穢れは人知れずに舞う神舞(かんまい)で神様にお渡して祓ったのです。

筑紫舞は日本神道の神事である禊祓いを行う真性の神事芸能だったのです。

踊りは身体言語ともいうべき非言語コミュニケーションの手段です。舞は言葉によって伝えられない情報を伝えることができました。巫女舞や神楽や傀儡舞は自然と一つになって平和に暮らしていた神話時代の神々の姿を今に伝えるものなのです。

神事芸能研究会
http://shinji-geinoh.sakura.ne.jp/acces.html

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